株主価値向上を期待できない中期経営計画
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新中期3カ年計画に対する弊社の評価
- 淺沼組は2021年4月1日に「中期3カ年計画(2021年度~2023年度)」(以下「新中計」といいます。)を発表しました。弊社は、新中計を早期に開示していただくことを要望しており、淺沼組はその要望を受けてタイムリーに新中計を発表したと考えられます。さらに、リニューアル事業やESGについての開示の充実という要望やIRの改善の一部の要望も採用していただけました。
- しかし、株主価値向上の観点から、新中計を評価すると、下の比較表の通り、弊社が求める内容とは大きく乖離したものであると言わざるを得ません。
- (出所:2021年4月1日のプレスリリース及び有価証券報告書より弊社作成。上表の「弊社意見」についてはこちらをご覧ください)
- ※有価証券報告書に記載の業績連動報酬25百万円を報酬等の総額120百万で控除して算定。なお、2021年2月25日のプレスリリースにおいて、譲渡制限付株式報酬制度の導入を公表しているが、報酬全体に対する比率は不明。
自己資本が積み上がり、株主価値が向上しない配当政策
- 淺沼組の新中計では、配当性向50%以上という低い配当性向が維持されるため、自己資本が積み上がります。その結果、当期純利益が成長を続けるにもかかわらずROEは横ばいで推移する計画となっています。自己資本が積み上がると資本効率性は高まらないため、株主価値が向上しないことを、弊社は繰り返し説明して参りました。
- (出所:2021年4月1日のプレスリリース及びQUICK ASTRA MANAGERより弊社作成。自己資本はROE及び当期純利益の会社計画値より弊社算定)
- 淺沼組の経営陣には、弊社の提案内容について再考し、株主価値を向上させるための修正版新中計を発表していただくことを期待しています。
明らかにされなかったIR改善策
- 弊社は淺沼組に対し、株主価値向上のためにはIRの改善が不可欠であると再三にわたり強く要望して参りました。しかし、資本コストを低下させるための方策に関する記載がない、また、投資計画については「80億円の計画を遂行する」だけでその成果目標などの記載はない、など今回発表された新中計は具体性に乏しいものでした。このままでは従来同様、資本コストが高い状態が継続し、低い株価のバリュエーションを改善することは極めて厳しいと考えます。一刻も早く、投資家の不安を解消できるような、具体性のあるIR改善策を公表、実施していただくことに期待します。
新中計発表後に弊社が淺沼組に送付した書簡
トピック:淺沼組が認識する資本コストのギャップ
- 淺沼組は資本コストを開示していますが、株式市場が認識している資本コストの水準と、淺沼組が認識している水準にギャップがあると考えています。
- (出所:QUICK ASTRA MANAGER及び有価証券報告書より弊社作成、2021年1月15日現在)